昨日、台風が接近しているというニュースを聞いて、近所のスーパーに立ち寄りました。
夕食の材料を買いがてら、パンでも買っておこうと思ったのですが、食パンのコーナーに行ったら棚がほとんど空でした。フランスパンも同じで、長方形の棚に商品がほぼない。少し前に来た人たちが、ほとんど買い占めていったようです。
一方で、缶詰の棚はそれほど変わっていませんでした。保存がきくはずのカップ麺も、まだ十分ありました。
おかしいな、とは思わなかったでしょうか。合理的に考えれば、台風への備えとして保存食を優先するはずです。でも実際に人が手を伸ばしたのは、普段食べている食パンやフランスパンでした。
人は「いつもの延長」で動く
これは食品の合理性の話ではなく、人間の行動の話だと思っています。
非常時に人がまず選ぶのは、見慣れたもの・手が届くもの・いつも食べているものです。非常食として最適かどうかよりも、「これでいける」という安心感が先に来るのでしょう。全国スーパーマーケット協会の調査でも、災害時の備蓄行動が急増し、約46%の店舗で欠品が発生したという記録があります。人が不安を感じると、まず手近なものへ動く。これは台風のときに限った話ではないと感じました。
人が動くのは、「困る前」
もう少し観察していると、面白いことに気づきます。
台風の被害が出るのは翌日か翌々日です。でも人が動いたのは前日でした。「まだ困っていない」タイミングで、すでに動いていたわけです。
これはWeb上での検索行動とよく似ていると思いました。人が検索するのは、「今困っている」ときだけではありません。
「困りそうな予感がある」タイミングでも、人はスマホを取り出します。「フィリピン留学 費用」と調べる人が、まだ留学を決めていない段階にいるのと同じです。
悩みが顕在化する前の段階で、情報収集はもう始まっています。
多くの企業メディアが間に合わない理由
このことをコンサルの現場に当てはめると、ひとつ気になることがあります。
多くの企業が、記事を作り始めるタイミングが遅い、という問題です。「問い合わせが来なくなってきた」「競合に負けている気がする」と感じてから、コンテンツを作り始める。
でも検索の世界では、記事が順位に影響を与えるまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。台風が来てから食パンを焼き始めても、もう棚には戻せないのと同じだと思っています。
コンサルで実際に動いている案件でも、このズレは何度も目にしてきました。
担当している記事の約7割をTOP10以内に入れることができていますが、それが可能なのは、成果が出る前から仕込みを続けていたからです。半年〜1年後を見越した設計があって、初めて結果につながります。
「そこにいる」ことが、メディアの仕事
では、Webメディアとして何をすればいいのかというと、答えはシンプルで、読者が動き出す前にそこにいることだと思っています。
セブ島留学のメディアを立ち上げたとき、留学を考えている人が「まだ誰にも相談していない段階」でたどり着ける場所を目指しました。
半年でTOP3に入ることができたのも、そのタイミングを意識して作っていたからだと思っています。人が動き始める前から積み上げておくことで、いざというときに「そこにある」メディアになれます。
続けることが参入障壁になる、とよく話していますが、その本質はここにあると思っています。
続けることで、ライバルがいなくなるタイミングに自分だけが残っている。台風前のスーパーでたった一店舗だけパンが揃っていたら、そこに人が集まるのと同じ構造です。
企業の自社メディアが機能するかどうかは、記事の質よりも、始めるタイミングと続けられるかどうかに左右されることが多いと感じています。困られてから動くのではなく、困られる前から準備しておく。食パンの話をしながら、結局そういうことだと思うのです。
reminisce コンセプト
Webメディアを、会社の中に育てる。
参考:一般社団法人全国スーパーマーケット協会「スーパーマーケット白書2026」
https://www.super.or.jp/wp/wp-content/uploads/2026/03/NSAJ-Supermarket-hakusho2026.pdf

