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セールスフォースがAIで4,000人を減らした話から、自社メディアの作り方を考える

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セールスフォースという会社が、少し前に興味深いことをしました。

自社が開発したAIエージェント「Agentforce」を活用し、カスタマーサポートの人員を約9,000人から5,000人へ削減したのです。同時に、そのAIを企業に売るための営業要員は新たに採用しています。

自分たちが作ったAIで、自分たちの仕事を減らした。そしてそのAIを世界中に売っている。

なかなか正直な会社だと思います。

セールスフォースが示した「証明」の話

セールスフォースはDreamforce 2024での発表以来、自らが「カスタマーゼロ」となり、自社のサポートサイトにAgentforceを導入し続けてきました。2025年10月時点で、AIエージェントとユーザーとの会話数は延べ180万件、解決率は77%、人間のサポートの関与をわずか2%にまで減らすことに成功しています。

「自分たちで使って、本当に機能した。だから売る。」

これはポジショニングとして非常に強いと思います。口で言うだけでなく、自社で実証して見せる。顧客からすれば「あなたたちも使っているんですね」という安心感につながります。

ただ、ここで注目したいのはAIそのものの話ではありません。この出来事が示している構造の話です。

記事を増やすことと、自社メディアを育てることは、実は別の話

セールスフォースは、人を減らしながら同時に「AI営業要員」は採用しています。

つまり、なくなったのは「AIが代替できる仕事」で、残ったのは「戦略を判断し、動かす仕事」です。削減されたカスタマーサポート部門の人員は、営業部門に異動しAgentforceの販促に従事しているとのことです。単純な人員削減ではなく、人の役割を「AIが苦手な仕事」へと移行させているわけです。

自社メディアの運営でも、まったく同じことが起きています。

AIを使えば記事は量産できます。キーワードを入れれば構成案が出て、本文もそれなりのものが出てくる。コストも時間も、以前とは比較にならないくらい下がりました。

ところが、多くの企業が「記事を増やしたのに問い合わせが増えない」という状況に陥っています。原因はシンプルです。「何を書くか」「どのポジションで書くか」という設計なしに、記事の量だけを追いかけているからです。

競合が強くても、切り口を変えれば戦える

具体的な話をします。

以前、ヨガ資格に特化したメディアの運営に関わったことがあります。「ヨガ」という広いジャンルには、雑誌まで持つ強力なメディアが既に存在していました。そこに正面からぶつかるのではなく、「資格・キャリア」という切り口だけに絞り込みました。

PV数では圧倒的に差がありましたが、資格販売という目的では、数年間にわたって業界トップクラスの成果が出ていました。

自社メディアを立ち上げる際、多くの担当者が「競合より多く記事を書かなければいけない」と感じています。しかし実際には、競合が手をつけていない切り口を一つ見つけて、そこに絞り込む方がはるかに早く成果につながります。

AIで記事を量産する競合が増えた今、この「絞り込みの設計」の重要性はむしろ上がっています。

AIに任せる部分と、人間が判断すべき部分

Web集客でAIが苦手なのは「どの市場で戦うか」「誰に向けて何を伝えるか」「競合が手をつけていない隙間はどこか」という判断です。記事を書く作業はAIに任せながら、その設計を人間がやる。この構造が、これからの自社メディア運営の基本になってきていると思います。

reminisceで関わっているクライアントの中に、月に何十本もの記事を制作しているケースがあります。作業の多くはAIを活用しています。ただ、「何を狙うか」「どういうポジションで書くか」「この記事が問い合わせにつながる設計になっているか」という部分は、毎回人間が判断しています。

そこをなくすと、記事は増えても成果が出ない状態になります。

まとめ:自社メディアは「記事を置く場所」ではなく「ポジションを作る場所」

CEOのマーク・ベニオフ氏はポッドキャストで「この8カ月は非常にエキサイティングだった。サポートの人員を9,000人から5,000人に減らすことができた」と発言しています。

「少ない人数で運営できる」という言葉は、AI導入による生産性向上を象徴するものです。同時に、どんな企業でも「AIで代替できる仕事」と「人間が判断すべき仕事」の仕分けが必要な時代になったことも示しています。

自社メディアも同じです。記事を書く手段はどんどん安くなっています。だからこそ、「何のためにこのメディアを作るのか」「この分野でどんな会社として認識されたいのか」という問いが、以前より重要になっています。

Webメディアを、会社の中に育てる。

この言葉の意味は、記事を増やすことではありません。見込み顧客の頭の中に「この分野ならここ」というポジションを作っていくことです。そのための設計と実行を、一緒に考えていきたいと思っています。

参考: AIのおかげで4,000人のカスタマーサポート要員を削減できたとSalesforceのCEOが語る|GIGAZINE

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