2013年から、私はNewspaperという海外のWordPressテーマを使っています。
tagDivという会社が作ったこのテーマは、ニュースメディアやマガジン型サイトを念頭に設計された、デザインの自由度が高いツールです。当時、国産テーマでは出せないような、本格的なメディアサイトの見た目を比較的低コストで実現できるという点に魅力を感じていました。
ただ、正直に言うと、使いこなすには相当な苦労がありました。
CSSひとつ変えるだけで、デベロッパーに連絡していた
Newspaperにはページビルダーが付属しているので、基本的なレイアウトやデザインは自分でも触ることができます。ブロックを並べたり、カラムを調整したりという作業は、コードの知識がなくてもある程度できるようになっていました。
ただ、そこから先が壁でした。
記事の見出し(Hタグ)に色を付けたい、囲み枠のデザインを変えたい、投稿ページだけ特定のレイアウトにしたい。こういった細かいカスタマイズをしようとすると、すぐCSSの話になります。マニュアルは英語で、日本語の解説記事もほとんどなく、エラーが出ても自分では原因がわからない。
その都度、専属のデベロッパーに連絡していました。「ここをこうしてほしい」とSlackで送って、返事を待って、修正が来たら確認して、また調整をお願いして——という往復が、ひとつの変更だけで数日かかることも珍しくありませんでした。
これが、長年の当たり前でした。
今は、AIに聞く方が早い
その当たり前が、ここ1〜2年で変わりました。
同じ「HタグにCSSを当てたい」という作業を、今はまずClaude(クロード)やChatGPTに聞くようになっています。「WordPressのカスタマイズCSSで、H2タグの左に青いボーダーを付けたい」と書くだけで、コードがすぐに出てきます。エラーが出ても、そのエラー文をそのままAIに貼り付ければ、たいていの場合は解決の糸口が見つかります。
デベロッパーに依頼していた頃と比べると、作業の体感スピードは10倍以上変わったと思っています。
もちろん、AIが常に正しいわけではありません。「これをやったらまずいのでは?」と感じるような提案をされることも、正直あります。ただ、使う側がサイトの構造をなんとなく把握していれば、AIの出力を判断しながら進めることは十分できます。
セキュリティに関わる部分や、複雑なシステム連携が必要な実装はまだデベロッパーが必要です。ただ、デザインの細かい調整やCSS周りのトラブル対応に関しては、デベロッパーへの依頼頻度は明らかに下がりました。
浮いたコストが、戦略を考える時間に変わった
ここが、私が一番お伝えしたい点です。
デベロッパーへの依頼が減ったということは、お金と時間の両方が浮いたということです。その分が何に変わったかというと、「お客さんのことを考える時間」に変わりました。
どんなコンテンツを作れば読者の役に立つか。どのキーワードで記事を書けば、検索してくる人の悩みに答えられるか。サイトの構造をどう設計すれば、問い合わせにつながりやすくなるか——こういったマーケティングの本質的な問いに使える時間が、以前より確実に増えています。
ウェブメディアの制作において、本当にコストがかかるべき場所はここだと思っています。デザインの細かい調整に時間をかけることではなく、「誰に、何を伝えるか」を考えることです。AIによってその優先順位が正しく整理されてきた、という感覚があります。
今こそ、ウェブメディアを作る・進化させるタイミングだと思う
以前、オウンドメディアを立ち上げようとすると、制作費だけで数十万〜数百万円かかることが珍しくありませんでした。デザインの細かい修正のたびにデベロッパーに依頼し、更新のたびにコストが積み上がる、という構造を避けられなかったからです。
その構造が変わりつつあります。
AIを使えば、ある程度のウェブ制作・デザイン修正・CSSカスタマイズを、一人の担当者が対応できるようになってきました。もちろん完全に置き換わるわけではありませんが、「自分たちでできる範囲」が確実に広がっています。
コストが下がるということは、参入の敷居が下がるということです。今まで「うちには制作費がない」という理由でウェブメディアの立ち上げを見送っていた会社が、動けるようになってきています。
そして、早く動いた会社が、検索結果の上位を先に取ります。
ポジションは先に取った者が有利です。読者の頭の中に「この分野ならこの会社」という印象が定着するのも、先に動いた側です。コストが下がった今は、参入コストが低い分だけ、ポジションを取るチャンスでもあります。
AIを使っている企業とそうでない企業の差は、これからますます開いていくだろうと感じています。技術の差ではなく、お客さんのことを考える時間の差として、です。
Webメディアを、会社の中に育てる。
参照:











