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機能より信頼。スイッチボットがシェア率No.1の理由 スマートロック市場の逆転劇

わが家の玄関の鍵が、なんとなく入りにくくなってきた時期がありました。

劇的に壊れたわけではありません。ただ、差し込むたびに少し引っかかる感覚があって、毎回「ちゃんと開くかな」と意識するようになっていた。そのタイミングで、以前から気になっていたスイッチボットのスマートロックを取り付けてみることにしました。

取り付けは思っていたより簡単でした。賃貸でも使えるよう、既存のサムターンに被せるだけの設計になっていて、ドアに穴を開ける必要もありません。アプリの設定も、それほど手間取らずに完了しました。

使ってみて思ったのは、「これだけでいい」ということです。

鍵を取り出さずにドアが開く。それだけです。ハブ機能を使えばエアコンや照明と連動させることもできるらしいのですが、正直、今のところそこまでの必要性を感じていません。子供が自分で帰宅するので、物理的な鍵を持たせずに済むのも助かっています。子供が鍵をなくすたびに合鍵を作ったり、鍵ごと交換したりする手間を考えると、それだけでも十分な導入理由になります。

ドアが開く。子供も自分で帰れる。それだけで、日常のストレスがひとつ消えます。

後発なのになぜシェア1位になれたのか——スイッチボットの軌跡

スイッチボットを展開するWoan Technologyは、2015年に中国・深圳で設立された企業です。深圳はファーウェイやテンセント、BYDなどを生んだ「中国のシリコンバレー」と呼ばれる地域で、ハードウェアスタートアップが集積しています。

日本市場への参入は2018年、日本法人の設立は2020年です。スマートロック単体で見れば、後から入ってきた側です。

それにもかかわらず、2025年1月〜12月の国内BtoC販売台数で、スマートプラグ・スマートカーテン・スマートロック・スマートリモコンの4カテゴリ合計でNo.1ブランドの地位を維持しています(2026年4月・家電Biz調べ)。日本国内での累計販売台数は500万台を超え、利用世帯数は200万世帯以上に達しています。

さらに、Woanの香港証券取引所への上場申請書によると、収益の約60%が日本市場からのものであり、日本のスマートホーム市場で28%のシェアを持つ1位のブランドとなっているとされています。

なぜ後発でここまでの結果を出せたのか。その理由を考えると、一つの答えに行き着きます。

「工事不要、後付け可能、そしてちゃんと動く」

この3点を、先行者より高いレベルで実現したからだと思われます。

先行者Qrioはなぜ負けたのか——調べてわかったこと

少し前置きをさせてください。私自身はQrioのスマートロックを使ったことがありません。ただ調べてみると、複数の場所でこのような評価が見られました。仮にそれが本当だとすれば、という前提でお読みください。

Qrioは2015年にソニーとWiLのジョイントベンチャーとして設立され、同年に国内初のスマートロックのひとつとして製品を発売した先駆者です。ソニーが持つ無線セキュリティ技術や公開鍵認証技術を活かした製品で、当初は「日本製という安心感からこれ一択」と言われるほどの支持を集めていたようです。

ところが、使ったユーザーからの評価を見ると、気になる記述が多く見られます。「Bluetooth接続が不安定でアプリ経由での解錠成功率は70%程度、自動解錠に至っては成功率20%程度だった。何度もリアル鍵を取りに行くハメになった。アフターサポートも最悪で、本体のアップデートもなくやる気が感じられない」というレビューもありました。また「スマートロックのジャンルを切り開いた先駆け的な存在だが、他社が追い付いてきたため現代では選択肢から外れつつある」という評価も見られます。

仮にこれが実態に近いとすれば、問題の本質は明らかです。

スマートロックを使う人が求めているのは、「ドアが開くこと」だけです。それが70%しか実現できないとすれば、製品としての存在意義が問われます。ソニーというブランドの信頼性も、基本動作の不安定さの前では何の防波堤にもなりません。

2023年には初代モデル「Qrio Smart Lock」のサービスが終了しています。先行者が時間をかけて積み上げてきた認知は、信頼の裏付けがなければ維持できないということだと思われます。

トヨタが発展途上国で支持される理由と、まったく同じ話

仕事柄、東南アジアや発展途上国に足を運ぶことがあります。現地でグラブタクシーや普通のタクシーに乗るたびに、ドライバーさんと話をするのですが、車の話になると決まって同じ言葉が出てきます。

「トヨタは壊れない」

友人たちもことごとくトヨタを買っていて、なぜかと聞いてみると、「韓国車は最初のコストは安いけれど、修理が重なって結局高くつく」という答えが返ってくる。これは一人から聞いた話ではなく、国も違えば職業も違う人たちが、ほぼ同じことを言うのです。

スマートロック市場で起きたことは、これと同じ構造だと思われます。

Qrioは先行し、ソニーというブランドを持ちながら、「開かないことがある」という致命的な問題で信頼を失いました。SwitchBotは後発でも、基本動作の安定性を先行者より高いレベルで実現することで逆転しました。

機能の多さでも価格でもなく、「使い続けられること」が最終的な勝負を決めたのでしょう。

日本の老舗メーカーはなぜ対応が遅れたのか

ここには、いくつかの構造的な理由があると思われます。

ひとつは流通の問題です。美和ロックをはじめとする日本の老舗鍵メーカーは、建設会社・住宅メーカー・工務店を経由して製品を納品するBtoBtoCの流通が長年の主軸でした。後付けスマートロックはその流通を介さず、直接ユーザーに届く製品です。既存の販売チャネルを壊しかねないものに、積極的に投資するのは難しかったと思われます。

もうひとつはセキュリティへの慎重さです。鍵は「物理的に壊れないこと」が最優先の業界です。ネットワーク接続によるハッキングリスク、電池切れによる締め出し、システム障害といったリスクへの懸念が、参入判断を鈍らせた面があるでしょう。慎重さ自体は責められるものではありませんが、その間に海外勢に市場の入口を押さえられました。

SwitchBotが2025年の段階でも販売No.1を維持しているのは、この時期に積み上げたエコシステムとユーザーの慣れが、そのまま参入障壁になっているからでしょう。

一度きりに近いニーズだから、最初に選ばれた側が長く使われ続ける

スマートロックを購入するきっかけを考えてみると、ニーズが発生するタイミングはそれほど多くありません。

鍵の調子が悪くなってきたとき。引越しや新居のタイミング。子供に鍵を持たせたくないとき。家族に合鍵を渡す手間を省きたいとき。私自身の場合は、鍵の調子が悪くなったことと、子供の帰宅の問題が重なったタイミングでした。

いずれにせよ、美容のように「なくなったからまた買う」「定期的に補充する」というリピート型のニーズとは違います。一度取り付けて満足すれば、よほどのことがない限り乗り換えません。他社製品に交換するためには、現在のものを取り外し、新しいものを設置し、アプリを再設定する手間が発生する。その面倒くささが、そのまま乗り換えコストになっています。

一度選ばれた側が、そのまま使われ続ける。これがこの市場の構造です。

だからこそ、最初のアプローチで選ばれることの重みが、他のカテゴリーより大きくなります。信頼を先に取った側が、時間とともにその優位性をむしろ強めていく市場です。

Webメディアも同じ構造——最初に読まれたサイトが読まれ続ける

あるキーワードで検索して、最初にたどり着いたサイトが「わかりやすかった」「役に立った」という体験をすれば、読者はまた同じサイトを訪れます。毎回10個のサイトを比較して最も良いものを選ぶ、という行動を読者は取りません。「あのサイトに行けばいい」という記憶が形成されれば、それがそのまま継続的な流入になります。

スマートロックと同じです。一度選ばれた側が使われ続ける。

だからこそ、狙ったキーワードで先に検索上位を取ることに、これほどの意味があります。記事を増やすことが目的ではなく、特定のキーワードで「最初に選ばれるサイト」になることが目的です。そこに到達するための設計が、Webメディア運用の核心にあると思っています。

先に信頼を取った側が長く使われ続ける。スマートロック市場で起きたことが、Webメディアの世界でも毎日起きています。

Webメディアを、会社の中に育てる。

参照リソース

【一次情報・メディア】
SwitchBot公式サイト(2025年販売No.1データ)
SwitchBot – Wikipedia
スマートロック「Qrio」初代モデル、サービス終了へ(ITmedia NEWS)
錠前・鍵・スマートロック業界の市場シェア分析(deallab)
SwitchBotの躍進:日本市場を攻略した深圳発スマートホーム企業の秘密(Pan Xiuxi, note)

【個人ブログ・レビュー】
不安定なQrio LockからSwitchBotへ変更
スマートロックまとめ(tomatojuicer222’s diary)

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コーヒー一杯が、となりの安いカフェの倍ちかい。それでも珈琲館は30年続いています。スタバは「遊園地」、コメダは「ファミレス」、では珈琲館は何屋なのか。値段でも知名度でもなく「一杯」に払わせる立ち位置を、Web集客とポジショニングの視点で読み解きます。

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