先日、Appleの整備済製品でMacBook Proを購入しました。価格は約55万円。それなりに高い買い物です。
ところが購入から10日ほど経った昨日、オンラインMTGをしている最中に突然Macが落ちました。画面共有をしながら話していたところ、いきなり動かなくなり、その後も挙動がかなり不安定に。最初は「今入っているOSが不安定なのか?」と思い、OSを最新版にアップデートしようとしたのですが、これが決定打でした。
アップデート後、リンゴループがスタート。Appleロゴが表示されては再起動する状態になり、セーフモードで立ち上げようとしても、起動して1分もすればまたループします。今思えば、M5 Pro・メモリ48GBというそれなりのスペックなのに、大した処理をしていない段階から本体後方がかなり熱くなっていて、「なんかおかしいな」と感じていました。
とはいえ、今はこういうときにChatGPTへクラッシュレポートを読ませたり、ログの内容を解析してもらったりできるので、以前より「何が起きていそうか」をかなり絞り込めます。原因を完全に断定できるわけではありませんが、自分で状況整理できるのはかなりありがたい時代になったなと思います。
結局、Appleに問い合わせて返品することになりました。今回はMacが壊れたことそのものより、その後の対応でいろいろと思うところがありました。
まず最初の問題が、「Appleに問い合わせるまでがめちゃくちゃ面倒」ということです。これは以前から何となく分かっていましたが、Appleのサポートページから問い合わせようとすると、製品を選んで、症状を選んで、さらにいくつか選択肢を進んで……という感じで、とにかく電話までたどり着きにくい。
もちろんFAQなどで自己解決してもらった方がApple側としては効率がいいのでしょう。ただ、こちらとしてはMacがまともに起動しないので、それどころではありません。「もう電話番号を直接教えてくれ」という状態です。結局、ChatGPTにAppleサポートの電話番号を聞いて、そのまま電話しました。これが一番早かったです。
サポートに電話した後も、いくつかの部署をまたぐことになりました。そして途中、一度「別の担当部署につなぎます」と言われたあと、そのまま電話が切れました。おそらく操作ミスだと思いたいですが、昔サンドウィッチマンのコントでこんなのあったな……と思いながら、もう一度かけ直しました。
さらに面倒だったのがAppleCareです。今回のMacBook ProにはAppleCareを付けていたのですが、本体を返品してもAppleCareが自動的に全部処理されるわけではありませんでした。Mac本体とAppleCareを同時に購入していれば一緒に処理できるケースもあるようですが、私の場合は別のタイミングで加入していたため、AppleCare側にも別途連絡が必要でした。
しかもオンラインで契約したものなのに、解約のために電話が必要でした。月額などのサブスクリプション型であればオンラインから解約できる場合もありますが、今回のような契約では電話での手続きが必要になるケースがあります。ここも完全に落とし穴でした。
こういうトラブルが起きたとき、一番楽なのはおそらくApple Storeへ直接持っていくことだと思います。実は私、過去にもMacBook Airで似たようなトラブルを経験しています。今思うと、Apple製品で事故る確率が結構高い気もします。
そのときはApple Storeへ直接持っていき、スタッフに状態を確認してもらい、その場で交換や配送の手続きをしてもらった記憶があります。電話で状況を説明して、部署を回されて、また説明して……という作業を考えると、近くにApple Storeがあるなら、直接行った方が圧倒的に楽だと思います。
在庫がある商品なら、その場で交換してもらえる可能性もあります。ただ、今回購入したのはメモリ48GBのMacBook Pro。いわゆる標準構成ではなく、少し特殊な構成だったため、その場で代替品に交換というわけにはいかず、最終的には返金対応になりました。
ここまで何度も電話をしていて、ふと思い出した会社があります。靴のECで有名になった「Zappos(ザッポス)」です。
私はザッポスを実際に利用したことがないので、「本当に素晴らしいカスタマーサポートだった」と自分の体験として語ることはできません。ただ、ザッポスがカスタマーサポートを非常に重要視し、それ自体をブランドの一部として扱っていたことはよく知られています。
今回のAppleで私が感じたのは、「できるだけ問い合わせを減らしたい」という設計でした。問い合わせ先までたどり着きにくく、返品やAppleCareの解約も手続きが分かれ、こちらから何度も動かなければいけない。
一方、ザッポスはその逆で、顧客との電話そのものをブランドを作る機会として考えていました。電話対応の時間を厳しく制限せず、必要であれば長時間話し、自社に商品がなければ他社を紹介することまであったと言われています。
つまり、違いはかなりシンプルです。Appleで今回感じたのは、「問い合わせはなるべく発生させたくないもの」という発想。一方のザッポスは、「問い合わせは顧客との関係を作る機会」という発想です。
もちろんAppleとザッポスでは会社の規模も商品も違うので、単純比較はできません。ただ、この考え方の違いだけでも、顧客が受ける体験は大きく変わります。そして面白いのは、どちらも結局はマーケティングにつながるということです。
ブランド成長について考えるとき、私はダブルジョパディの法則はかなり重要だと思っています。大きなブランドほど購入者が多く、購入頻度もわずかに高くなる。そのため企業は、一部の熱狂的なファンだけを追いかけるのではなく、より多くの人に知ってもらい、より多くの人が買える状態を作ることが重要になる。これはかなり納得できます。
ただ、それだけですべての企業の成功を説明できるのかというと、私は少し疑問があります。例えばスターバックスです。スターバックスは単に「どこでもコーヒーを買えるようにした会社」ではありません。店舗の雰囲気やスタッフとのコミュニケーション、そこで過ごす時間まで含めて、顧客体験を重視してきた企業として知られています。
もし重要なのが認知と購入機会だけなのであれば、こうした体験への投資をどこまで説明できるでしょうか。ザッポスも同じです。購入者数を増やすことだけが目的なら、一人の顧客と長時間電話をするのは効率が悪い。それでもカスタマーサポートに投資した。そして結果として、「ザッポスは顧客対応がすごい会社」という評判そのものがブランドになりました。
こう考えると、マーケティングは「どうやって買ってもらうか」だけではないのだと思います。商品を知ったとき、サイトを見たとき、購入するとき、商品が届いたとき、そして壊れたとき、返品するとき、解約するとき。これらすべてが、その企業についての印象を作ります。むしろ今回のように、企業にとって都合の悪い場面でどう扱われたかの方が、強く記憶に残ることすらあります。
実際、今回の対応には結構イラっとしました。しかも、Apple製品でリンゴループを経験したのは今回が初めてではありません。過去にも別のMacで同じようなトラブルがあり、これで2回目です。
そのせいもあって、「もうWindowsに戻れないかな」と本気で思いました。昔よく使っていたLet’s noteを思い出して、実際に価格まで調べたくらいです。Let’s noteには、少なくとも自分の中ではあまり悪い思い出がありません。まあ、実際に買うかと言われれば、たぶん買わないと思いますが(笑)。
でも、ここが重要なんだと思います。企業からすれば、返品や解約は「売上にならない後処理」かもしれません。しかし、その体験次第で、顧客は次に何を買うかまで考え始めます。今回の私は実際に、長年使ってきたMacからWindowsへ戻ることまで検討しました。
今回、55万円で購入したMacBook Proが10日ほどで壊れました。もちろん、それ自体は残念です。ただ、機械なので故障することはあります。整備済製品だから壊れたのか、新品でも起きたのか、それは私には分かりません。
それよりも今回改めて感じたのは、「壊れた後の体験まで含めて商品なんだな」ということでした。広告を出す。SEOで集客する。LPを改善する。CVRを上げる。企業は「買ってもらうまで」にものすごくお金を使います。でも、その後の問い合わせや返品、解約を面倒にしてしまえば、そのときに作られた印象もまた、その企業のブランドになります。
マーケティングは、購入ボタンを押したところで終わりではない。今回MacBook Proが壊れたことで、そんな当たり前のことを改めて考えさせられました。
というわけで、これを書き終えたら、重たーい2kg超えのMacBook Proを持ってカフェに仕事しに行ってきます。バッグから取り出すたびに「手首もげるんじゃないか」と思うのですが、今のところこれが一番安定しています。
もうご縁がなかったということで新しいMacBook Proは買わないのか、Mac miniにするのか、それともまたAppleの購入画面でメモリやSSDを延々悩むのか。たぶん、この悩んでいる時間にさっさと決めて仕事した方が、その差額くらい普通に稼げるという、元も子もない結論にたどり着きそうです。
しかも整備済製品を狙うなら、また在庫チェックの日々が始まります。もうそこはChatGPTに定期監視してもらって、「48GB出ました」と教えてもらう仕組みにした方が早いかもしれません(笑)。
とりあえず今日は、2kg超えのMacBook Proを担いで仕事してきます。
