Skip to main content Scroll Top
  • Home
  • ブログ
  • 私が年40万円のSEMrushを開かなくなった理由。SEOツールよりAIを選ぶ時代へ!?

私が年40万円のSEMrushを開かなくなった理由。SEOツールよりAIを選ぶ時代へ!?

正直に言うと、年40万円のツールを、ここ数カ月ほとんど開いていません。

SEMrushのことです。SEOの仕事をしている方には、説明はいらないかもしれません。検索順位も、競合の動きも、キーワードのボリュームも、被リンクの状況も、一つの画面でわかる。私が契約しているプランは年間で40万円ほどかかりますが、それだけの価値があるツールだと、今でも思っています。

そのSEMrushを、最近ほとんど開いていない。なぜなのか。この数カ月、自分のなかで起きていた変化を、正直に書いてみたいと思います。

そもそも私がSEMrushを知ったのは、Backlinkoが買収されたときでした

むかし、Backlinkoというブログがありました。Brian Deanという方が運営していた、SEO業界では伝説的な存在です。大手メディアが短い記事を量産するなかで、彼はあえて逆をやりました。一本一本を徹底的に深く、実践的に書く。その差別化で、Backlinkoは月間50万近い検索流入を集める場所になりました。

そのBacklinkoが、2022年にSEMrushに買収されました。私がSEMrushという名前をはっきり意識したのは、このニュースがきっかけでした。それで実際に使ってみたら、とんでもなく使いやすい。当時は、これは画期的だと思いました。

それから数年、私はSEMrushを使い続けてきました。

SEMrushが提供してくれたのは「データ」で、「思考」ではなかった

ここが、今日お伝えしたい話の芯です。

SEMrushがやってくれるのは、データを出すことです。順位、流入、被リンク、キーワードのボリューム、競合の広告。どれも正確で、見やすい。けれど、そのデータを見て「で、いま何が問題なのか」「どこから直すのか」を考えるのは、ずっと私の仕事でした。

ツールは答えを出してくれません。材料を出してくれる。その材料をどう読み解いて、何を打ち手にするか。そこが私の本業であって、ツールが踏み込んでくれる領域ではなかったのです。

いま、その「思考」の部分をAIがやってくれる

ところが、ここ数カ月で景色が変わりました。ClaudeやChatGPT、Geminiにデータを渡すと、「いま何が問題か」をはっきり言い、「ならこう直してみては」という改善策まで出してくれます。そのうえ、実行に移すところまで一緒に進めてくれる。

しかも最近は、MCPサーバーという仕組みで、SEMrushのデータをAIが裏から直接引っぱってこられるようになりました。そうなると、私が自分でSEMrushの画面を開く理由が、ほとんどなくなります。データは裏で取りに行ってくれて、私はその読み解きと実行に集中すればいい。

私にとって、いちばん大事な仕事は「考えて、実行に移すこと」です。だとすれば、データの画面を眺めている時間より、実行まで付き合ってくれるAIと話している時間のほうが、価値が高い。一日の時間は限られています。より成果が出るほうを選ぶとなると、どうしてもそちらになるのです。

これは私だけの話なのか

ここで一度、外を見てみました。これは自分だけの感覚なのだろうか、と。

調べてみると、世の中の数字も同じ方向を指していました。意外なことに、ソフトウェアへの支出そのものは減っていません。むしろ増えています。減っているのは、企業が使うツールの「数」のほうです。使うものを絞り込んで統合し、残したものに多く払う。そういう再編が進んでいるのだと思われます。

そして、そのなかでお金は明らかにAIへ動いています。ある調査では、AI系ツールへの支出が前年から大きく伸びる一方、従来型SaaSの伸びは一桁台にとどまっています。お金がソフトから消えたのではなく、SaaSからAIへ移っている、ということです。

象徴的なのが、ほかでもないSEMrush自身でした。Backlinkoを買ったSEMrushが、今度はAdobeに約19億ドルで買収されたのです(買収は2026年に完了しています)。単体で見れば今も素晴らしいツールですが、単機能のまま独立して生き残ることは、結局できなかった。

並べてみると、きれいな入れ子になっています。差別化で勝ったBacklinkoが、その固有のコンテンツごとSEMrushに吸収される。そのSEMrushも、より大きなAdobeに吸収される。優れた単体プレイヤーが、より大きなプラットフォームに飲み込まれていく。この流れのなかに、私が画面を開かなくなった理由も、ちゃんと位置づけられていたわけです。

同じ1万円なら、人はAIに払うようになる

では経費が浮いたかというと、浮いていません。Claudeに月100ドル払い、ChatGPTにもGeminiにも払い、複数のAIを一画面で使えるツールにも払う。正直、まったく安くなっていません(苦笑)。支払先が変わっただけです。

ただ、これはたぶん私だけの話ではありません。同じ1万円があったら、SEOツール一つに払うより、複数のAIに払うほうを選ぶ。多くのWebマーケティングをしている人たちが、いま同じ感覚になりはじめているのではないでしょうか。

これはツールの話ではなく、メディア運営の話です

ここまでツールの話をしてきましたが、本当に言いたいのは別のことです。

データを出すだけの単機能は、これから背景に退いていきます。価値が移るのは、それを読み解き、判断し、固有のポジションを持っている側です。SEMrushがAdobeに買われたのも、AIが簡単には再現できない固有のデータ資産を持っていたからでした。Backlinkoが買われたのも、10年かけて積み上げた固有のコンテンツがあったからです。残ったのは、替えのきかないものを持っていた側でした。

メディアも、まったく同じ構造だと思っています。検索順位という単機能を追いかけるだけなら、それはいずれAIや大きなプラットフォームに飲み込まれる側の戦い方です。そうではなく、AIに代替されない固有のポジションを、自分の会社の中に持つこと。まずそこから始めるべきではないでしょうか。

検索順位だけでなく、顧客の頭の中にポジションを作る。私がメディア運営で大事にしているのは、結局そこに尽きます。

Recent Posts

Clear Filters

コーヒー一杯が、となりの安いカフェの倍ちかい。それでも珈琲館は30年続いています。スタバは「遊園地」、コメダは「ファミレス」、では珈琲館は何屋なのか。値段でも知名度でもなく「一杯」に払わせる立ち位置を、Web集客とポジショニングの視点で読み解きます。

6つのAIに同じ質問をしたら、答えが見事に割れました。検索で1位を取ってもAIに引用されない時代に、オウンドメディアで選ばれる人は何が違うのか。AI本人に勝ち方を聞いた記録から、AI検索時代の戦い方を考えます。