突然ですが、最近VERSANTって聞いたことがありませんか?
どうでしょう・・・
ないですかねぇ、きっとありませんよね(苦笑)。
私も最近VERSANT(ヴァーサント)という英語試験があることを知りました。
日経の方に聞いてみたのですが、VERSANTを使っている法人はコーチング型英会話で有名なトライズ、プログリッドなどが行っているぐらいで、オンライン英会話でもまだほとんどありません。
VERSANTとはなにか?
VERSANTはピアソンが開発したAIのスピーキングテストです。国内では日経が販売元代理店になっています。
特徴はなにかといえば、その結果の速さと試験を受ける時のラクさ、そしてテスト結果の正確さです。
AIを使ってテストを受けるのですが、ディープラーニングによって恐ろしく正確にスピーキング力がわかります。
受講した私としては、非常に優れた資格試験だと思いました。
TOEICは問題ばかり
そもそもTOEICを受講する目的は会社で使えるからです。では会社はなぜTOEICなのかといえば、TOEICぐらいしか指標がないからです。
しかし企業が求めている人材とは、喋れる人です。そこにおいて、TOEICの問題点は単純にLRで正確ではありません。
それにも関わらず、これしか続けるものがないゆえに企業側も「TOEICではスピーキング力がわからないし、英語力が即戦力レベルなのかどうかはわからない、だけど800点や900点とったということは努力の証だから、そういう人材は評価に値する」という、(実際それが本当だとしても)本来の目的とは違う、わけのわからない別の言い訳を言わざるを得ないのです。
そして、TOEICでよく言われるのがTOEIC800点、900点でもしゃべれないということです。
これはVERSANTのスピーキング分布表を見ると一発で分かります。
法人用なのでここに載せれませんが、簡単にいえばTOEIC900点台の平均でさえ、CEFRのB1+の54点であり、これは英会話上級者ではまったくありません。
VERSANTの定義ではビジネスで使える英会話の上級者はB2である58点からになります。
もっと細かく言えば、その54点のうちわけも「語彙力」でだいぶ点数を稼ぎ、「流暢さ」で点数を落としています。
流暢さだけだとCEFRでいうB1ぐらい。
つまり、実質TOEIC900点台の人たちでさえ、全然流暢ではないというのがVERSANTの結果なのです。
*もっとも、VERSANTの定義では47点以上は「海外赴任や会議に参加できる」レベル言われていますので、ビジネスで最初に必要とされる英語力という点ではクリアしています。
分布表を見てもTOEIC900点台で40点台〜50点台前半はかなりいます。
というわけで、やはりTOEIC LRの試験でスピーキング力を判断することは極めて難しいと言わざるを得ません。
しかしです!
分布表を見ていて気づいたことがあります。
VERSANTの点数が高い人でTOEICの点数が低い人はいないということです。
具体的にはVERSANTで55点以上取得している人の全員がTOEIC800点以上、50点でもほぼ800点以上の人たちで、700点も多少いるぐらいです。
つまり、VERSANTの点数が高いということはスピーキング力の証明だけでなく、リーディング力とリスニング力の証明にもなると言えます。
*ライティング力も相関関係はあると思いますが、データがないためここでは詳しいことは書きません。
なぜVERSANTの点数が高いとTOEIC LRの点数も高いと言えるのか?3つの理由
TOEICの点数が高くてもVERSANTの点数が高くない人が多いことは、分布表を見れば明らかですし、実体験としても多くの人達が感じていることだと思います。
にもかかわらず、逆である「VERSANTの点数が高いとTOEICの点数も高い」はなぜいえるのでしょうか?
1,VERSANTのテスト自体がリスニング力を問う問題だから
スピーキング力とはリスニング力でもあります。VERSANTのテストには聞き取れた言葉を復唱したり、文章を並べ替えさせるテストがあります。
これらはまさにリスニングの問題です。
その意味でいうと、TOEICのリスニング力が高い人はここで高得点を出せる可能性が高いです。
2,VERSANTのテスト自体が構文力(文法力)を問う問題で、リーディングにも影響を与えるから
VERSANTは全般的に語彙力や構文(文法)力を試してきます。そもそも文法は英会話の基本でありながら、リスニングにおいても、リーディングにおいても基本中の基本になります。そのため、VERSANTでこの部分が点数が高い(50点以上)であるということは、英語全般においてある程度の基礎がある人といえるので、必然的にTOEICの点数も高くなる傾向があります。
3,VERSANTのテスト自体が語彙力を問う問題だから
語彙力はTOEICと相関関係があると言われており、語彙力が高い人ほどTOEICの点数が高い傾向にあります。VERSANTの4つの項目(語彙力、構文力、発音、流暢さ)においてもTOEIC900点台の平均は54点ですが、語彙力は57点ぐらいあり、流暢さが51点ぐらいとなっていることから、900点台の人たちの語彙力の高さがわかります。
語彙力高いだけではスピーキング力はわかりません。なぜなら単語の運用能力は別だからです。しかし、既に運用できる単語レベルが高ければ、それは間違いなくTOEICにも反映されます。よってVERSANTで語彙力が高いとはAIに向かってその単語を喋っている(発声している)ということなので、運用できていることを指します。
難しい単語を的確なシチュエーションで使えるのであれば、TOEICの点数が高くなるのは自然なことです。
発音との相関関係は何とも言えない
逆にVERSANTの点数がある程度高いと、発音の点数もそれなりに高い可能性があります(絶対とはいえませんが)。
VERSANTでは一つ一つの発音をテストするわけではなく、文章で読んだ中で発音をチェックしていきます。そのため、ある程度自然に発音ができていないと点数がとれません。
VERSANTで発音の点数が高ければ、聞き取れるリスニング力にも影響が出るとは思いますが、TOEICとの相関関係という点では不明です。
なぜならカタカナ英語でも流暢な人は世の中にいっぱいいるからです。
というわけで、VERSANTの点数が高いということは、大抵の場合TOEIC900点、950点とはいわないまでもある程度、TOEICの点数が高いことを保証出来ると思います。
分布表を見る限りはVERSANT50点以上はTOEIC800点以上が堅いですね。
アフターコロナはTOEIC LRではなく、VERSANTの時代になるのではないかと、密かに思っています。
そしてそうなった時は、TOEIC塾はもういらなくなるでしょうね。なぜなら企業がTOEICを求めなくなるからです。
わずか20分でテストが完了するVERSANT、しかもTOEICの点数もある程度見えると慣れば、これで十分じゃないかと思うわけです。
あなたはどう思いますか?